中山間地の耕作放棄地利用に10年後の風景を描いて
和歌山県の中山間部には棚田が広がり「さとやま」の景観がみられる。しかし、その棚田での耕作については所有者の高齢化や後継者不足などにより過疎化とともに耕作放棄地が広がりつつある。
本取り組みは平成21年度に和歌山県からの呼びかけをきっかけに始まり、今年で5年目を迎える。昨年からは稲作以外に生物調査や地域の方々との座談会を行い。今年から耕作放棄地を使った地域再生や環境保全、さらには防災に強い街づくりを考える取組を行った。
本校の農業系列の教科では稲作に関する実習を教科内で実施する機会がなく、本取り組みは、稲作はもとより棚田における生物調査や耕作放棄地でのトウガラシの栽培など中山間地の活性化を見据えたものである。その中で特に地域の皆さんとの交流の機会である座談会は、棚田についての見聞を広げる機会となっている。
本校農業系列の授業科目の課題研究、環境科学基礎、農業経営、食品流通、食品製造などは、地域産業の基盤となる要素を取り入れ、中山間地の問題定義材料として、それぞれの科目に沿った内容で展開している。したがって、田植えから稲刈りまでの稲作技術の理解はもとより、地域の方々とのコミュニケーションから学ぶ棚田の重要性や耕作放棄地問題、さらには棚田活用法など幅広い視野のもと教科間を超えて棚田を見る取り組みでもある。
場所:有田川町瀬井 竹本農園
内容:@棚田における稲作
A棚田環境下の生物調査
B耕作放棄地におけるトウガラシ栽培の実践
C座談会~中山間地における農とくらし~
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6月5日 田植え直後 | 6月24日 茎数平均8本 | 7月10日 幼穂形成 |
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7月28日 出穂期 | 9月27日 収穫期 | 稲刈り後の様子 |
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調査風景1 | 調査風景2 | サワガニ |
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アカハライモリ | トノサマガエル | ユキノシタ |
私たちが中山間地棚田を通して学んだこと
@日本一の山椒の産地でも収穫されない山椒があり、なんとか利用したいと思いました。
A中山間地の田畑では傾斜地が多く、労働力の割に収入が少ないため、高齢化と過疎化が進んでいました。
B耕作放棄地が年々増加し、農作物の鳥獣害も増えているようです。
C中山間地の田畑はダム機能などの効果があるが、耕作放棄によって災害が起こる危険性が高くなっています。
D住民は耕作放棄地を何とかしたい。または、何とかしてほしいと思っています。
中山間地では高齢化・過疎化が深刻な問題になっています。
私たちのの七味トウガラシ材料の栽培をその耕作放棄地で行いました。
それによって地域の人材養成と鳥獣害・災害の防止に貢献できると考えています。
私達が考える中山間地の活用については黄色で示したように
@食材の有効利用と地域活性化を目指したエコ活動。
A災害に強い街づくりを目指した環境面のエコ活動。
B私たち自身が地域のリーダーとなれるように努力し、後輩に受け渡しながらこれらの取り組みを維持することだと考えています。
このようにして私たちの活動が6次産業化のモデルとなってほしいと思っています。
〒643-0021
和歌山県有田郡有田川町下津野459
TEL.0737-52-4340
FAX.0737-52-6749